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2023年10月16日

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起業・移住で自分らしい生き方を実現!自然の中はオープンな対話に最適な場所

東京都内から山梨県北杜市に家族で移住した村本彩さんは、2023年夏に宿泊機能付きコワーキング&交流スペース「ヒュッゲの森 Hostel & Workspace」をオープンさせた。移住先として北杜市を選んだ理由や移住してからの家族の変化、この場所で実現したいことについて話を聞いた。

家族で北杜市へ移住、夫は単身赴任で二拠点居住

山梨県北杜市に2023年夏にオープンした宿泊機能付きコワーキング&交流スペース「ヒュッゲの森 Hostel & Workspace」(以下ヒュッゲの森)。この場所をプロデュースするイロドリブランディング株式会社代表の村本彩さんが、会社を辞めて起業したのは2018年のこと。

「がむしゃらに仕事をがんばってきて、もちろんそれも大事だけれど、もっと目の前にある家族との時間や仲間とのつながりを大切にして生きていきたいと感じるようになったんです。

ヒュッゲの森をはじめたのも、そんなことを感じられる場所をつくりたいと思ったから。自然豊かな非日常の環境で、ワーケーションを体験しながら、利用者同士が気軽に交流して対話する中で、新しい視点を得られて、キャリアや人生を充実させるきっかけになればいいなと思っています」

イロドリブランディング株式会社代表の村本彩さん。大手飲料メーカーを退職して起業

2022年に家族で北杜市へ移住。2023年夏に施設の隣に自宅も完成した。夫の貴之さんは東京都内の会社員で、移住してからは週に数日東京都内のオフィスに出勤する生活を送っていた。2023年春に東北へ転勤になり、現在は週末には自宅へ戻る二拠点居住。彩さんと子どもたちの暮らしの拠点は完全に北杜市になっている。

シンプルながら温かみのある宿泊施設。一人部屋や二人部屋、ドミトリー式の4人部屋などがある。

五感をひらく壮大な自然に惹かれて移住を決意

移住を具体的に考えるきっかけになったのがコロナ禍だったという。

「夫は営業職で飲みに行くことも多く、以前は、平日に家族そろって食事をする機会はほとんどありませんでした。それがテレワークになって、家族で夕食をとるのが日常になると、人生で大事にしたいのはこういう時間なんだと強く思うようになって。暮らす場所も東京にこだわる必要はないかもしれないと思いはじめたんです」と彩さん。

貴之さんも「会社員は転勤などどうしても受け身になりがちですが、でも決められたものに自分たちを当てはめるのではなく、好きな場所に住み、好きなように暮らしてもいいんじゃないかと思うように。子どもたちに見せたいのも、やりたいことを我慢するのではなく、楽しんで生きる親の姿だなと思ったんですよね」と振り返る。

そんなふうに二人の価値観が一致し、具体的に移住を検討しはじめた。移住先はオフィスへ出社する日があることも考えて、都心から2~3時間圏内で検討した。

彩さんは福岡県出身、貴之さんは青森県出身。両県にも自然はあるが山梨県とは雰囲気が違うという

「候補はいくつかありましたが、たまたま北杜市に知り合いが別荘を持っていて使わせてもらったんです。何日か過ごしてみたら、すごくリラックスできて。毎日左脳ばかり使って生きている生活でしたが、五感すべてがひらくような感覚があって、気持ちもおだやかで。都会に暮らしていると得られない感覚だと思いましたね」

北杜市は家族でキャンプにもよく訪れていたが、テントで過ごすのとはひと味違ったという。
「近所のスーパーへ買い物に行って、キッチンで料理を作って……とリアルな暮らしに近い体験ができ、ここで生活するイメージを持てました」

自然豊かな場所はほかにもあるが、北杜市の自然には独特の雰囲気を感じているそうだ。
「山が壮大で、日本じゃないような感じ。夏は涼しく過ごしやすいですし、冬の山の美しさも好きです。あとは水もおいしいですね」と彩さんが話すと、「空気もおいしいですね。電車を降りた瞬間にわかります。息をするのが気持ちいいんですよ」と貴之さんも笑顔で続けた。

宿泊者やコワーキング利用者が誰でも使える共有リビング。オープンキッチンとオープンテラスを備える

仕事とプライベートがグラデーションでつながる心地いい暮らし

移住後はワークライフバランスが変化したそうだ。

「仕事とプライベートが、スイッチのオンオフのようにきっちり切り替わるのではなく、グラデーションでゆるやかにつながるようになりました。自宅もヒュッゲの森の隣にあり、物理的にもつながっています。もともと私はスイッチのオンオフが得意ではなく、常にアドレナリンが出てしまうタイプ。でもここなら、仕事の途中で子どもを迎えにいくときに目に入る山や自然など、ふと心を落ち着かせてくれるものがたくさんあります。

ただ、よくいうスローライフとは少し違うかなと思います。田舎暮らしというと、仕事ものんびりマイペースでやっているイメージがあるかもしれませんが、決してそんなことはないですね。二拠点居住だと物理的な移動もあり、むしろ肉体的にはハードだと思います」

施設は窓が大きく、室内でも自然を感じる。気持ちがおだやかになれる空間だ

実際に東北との二拠点居住をしている貴之さんも「移動は大変ですが、家族の時間が大切だという意識は、より高まりました」と話す。

彩さん自身、親の仕事の都合で転勤が多かったこともあり、子どもたちの環境が変わることを大きく心配はしていなかったそう。実際すっかり環境になじみ、すくすく育っている。

「娘は書く文字が力強くなり、学級委員にもなるなど、芯が強くなりました。息子は大工さんになるのが夢なのですが、この前、『竹は成長が早いから竹でおうちをつくれば、自然破壊が減るんじゃない?』なんて話していて。竹が早く育つことを知識として知る前に、見て学べる環境なのがいいなあと感じています。

これからの時代に、単純に決められたことをやりぬく力だけでなく、自分で考えて動ける力が大事になってくると思うのですが、それは自然に触れたり、感じたりする中で培えると思っています」

市内のクライミングジム「LOKU BOKU(ロクボク)」(※)で地域の子どもたちと元気いっぱいに遊ぶ

もちろん、いわゆるお勉強も大事だと考えているとのこと。
「基本的な習いごとはできるし、今はオンラインという選択肢もあるので、東京にいたときと比べて大きく制限があるとは感じていません。娘もオンライン家庭教師を利用しています。北杜市らしい自然を生かした独自の教育プログラムなどにも関心があります」

※LOKU BOKU(ロクボク)は、株式会社ファーマンが旧高根北小学校借受事業者、株式会社ボタニクスが運営している施設です。

LOKU BOKU(ロクボク)を運営する伊藤さん夫妻も移住者。「子どもの学校や習いごとを通じて、親同士もナチュラルに交われるのがすごくいいですね」と貴之さん

自然の中では視点が変わり、対話が弾む

これまでオンラインをベースに事業を展開してきたが、施設ができたのでリアルとオンラインを融合させた活動を充実させていきたいそう。

「移住を考えたとき、仕事をどうするかというのは一つの大きな壁だと思うんです。以前は農業や移住先の企業に勤める以外の選択肢がほとんどなかったと思いますが、いまはオンラインでできる仕事も増えていますし、自分をブランディングして仕事をつくっていくこともできる。それを伝えながらサポートし、多くの人が自分の望む生き方をするための支援をしてきたいですね」

ヒュッゲの森では利用者同士の「対話」も大切にしており、月に1回、対話を促すイベントも開催している。たとえば、「人はどれくらいお金があったら不安が消えるのか」など正解がないテーマで意見を交わす。

ヒュッゲはデンマーク語で「居心地の良さ」や「大切な人やモノとのつながり・一体感」など、心が満たされる感覚を表す言葉

「人と対話して考え方の違いを知り、自分はどう感じるかを言葉にして伝える。その過程の中で、自分の本心に気づくこともあるはずです。対話をするときに、大事なのは心をゆるめて、人に対してオープンな姿勢でいること。無理にゆるめようとしなくても自然の中にいると、不思議とゆるみます。だからこの施設も、室内にいながら自然を感じられるようなつくりにしました」

利用者からは、「木漏れ日や頭上に広がる空など、自分が暮らす場所にもあるけれど、気づかないものに気づかせてくれる」という声が届いているそうだ。
「滞在は非日常ですが、ここで得られた感覚は日常にも持って帰れるものだと思います」

「何か話せる場所があると、前進できることもあると思います」

「この地域にはおもしろい生き方をしている人や個性的な人も多いので、この施設が人と人がつながる場所になればいいなとも思います。個々でできることには限界があるから、行政も含めてみんなで連携しながら、地域全体を盛り上げていきたいですね」

村本さんは友人の別荘での暮らし体験が移住の直接的なきっかけになったが、移住の決め手は人それぞれ。

「何がきっかけになるかはわからないので、頭で考えるだけでなく、実際に体験した人の声を聞くとか、現地に足を運んでみるとか、気軽に動いてみると、新しい感覚を得られることも多いと思います。移住といっても、北杜市は都内にも日帰りで行ける距離なので、自分の生活圏が広がった感覚。いきなり完全移住でなくても、別荘で過ごすような気軽な二拠点居住もあるし、違和感があれば元に戻るのも簡単。まずは構えすぎず、自分がやりやすい形ではじめてみるのがいいんじゃないかなと思います」

北杜市での暮らしが「楽しい!」と笑顔いっぱいで答えてくれた村本ファミリー

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