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2023年3月31日

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山梨の二拠点居住者・移住者の生の声を聞こう!オンラインイベント開催レポート

山梨県二拠点居住・移住公式ホームページ「Y-charge」のオープンを記念して、2023年3月に開催された、二拠点居住者・移住者の生の声が聞けるオンラインイベント「やまなし二拠点居住・移住発信交流会」。この会では「ハイクオリティな『やまなし』を発信~『働く』『暮らす』を話そう~」をテーマに、山梨県へ移住やUターンをした3人がトークセッションを実施した。そのハイライトをお届けする。

※こちらの特集は、2023年3月時点の取材に基づいて作成しております。

オンラインイベント「やまなし二拠点居住・移住発信交流会」を開催

【登壇者1】梅原 颯大(うめばら はやと)さん

山梨県丹波山村在住。梅鉢不動産株式会社代表。静岡県伊豆の国市出身。大学卒業後、大学の地域課題解決を考える授業で携わった丹波山村へ移住し、村内唯一の不動産会社「梅鉢不動産株式会社」を起業。所有者が不明で「利用ができない空き家」を「利用できる空き家」に変えたり、空き家の活用による移住者の増加を目指したり、空き家問題解決に挑戦中。

梅原 颯大(うめばら はやと)さん

【登壇者2】小俣 卓充(おまた たくみつ)さん

山梨県上野原市在住。WADE株式会社代表。山梨県上野原市出身。大学卒業後は留学、モバイルコンテンツ制作の企業勤務を経て、2010年にWEBプロダクション「株式会社コムリエ(現株式会社パノラマ)」へ取締役として参画(現任)。2018年Uターンし、リモートワークで働いている。2022年上野原駅北口に元旅館を活用したコワーキングスペース「見晴亭」をオープン。

小俣 卓充(おまた たくみつ)さん

【モデレーター】嶋田 尚教(しまだ ひさのり)さん

山梨県甲府市在住。グローバルデザイン株式会社勤務。神奈川県川崎市出身。2023年1月より、実家の川崎市から甲府市に移住。甲府市のオフィスで働きながら、県内のNPOでのボランティア活動や地域づくり活動に携わる。

嶋田 尚教(しまだ ひさのり)さん

山梨で「働く」ってどうですか?

嶋田:まずはみなさんの住んでいる地域と、そこで働くことについてお伺いしたいと思います。

梅原:私は、山梨県丹波山村で梅鉢不動産という村唯一の不動産屋を営んでおり、とくに空き家問題の解決に力を入れています。

丹波山村は人口わずか約530人。娯楽施設はなく、買い物ができるのも商店くらい。その分、働くことにはめちゃくちゃ集中できます(笑)。外に出ればすぐに山なので、気分転換も容易。遊ぶ場所こそないけれど、オンオフは切り替えやすい環境です。

小俣:私は山梨県上野原市出身で、東京に10年住んだ後、Uターンで戻り、リモートワークで働くようになり、2022年には上野原駅北口に元旅館を活用したコワーキングスペース「見晴亭」をオープンさせました。コワーキングスペースと呼んでいますが、地域の拠点のような場所になることを目指しています。

今はテレワークも浸透し、場所を選ばず働ける状況です。上野原市は東京・新宿から電車で1時間くらいなので行き来しやすく便利。私自身も拠点は上野原市ですが、都内へも頻繁に行きます。ちなみに上野原市は人口約2万2000人で、スーパーなどもあり、日常生活を送るのに必要なものは一通りそろいます。生活もしやすく、非常にバランスがよいと感じています。

嶋田:私自身は2023年1月に川崎市から甲府市に移住し、現在は市内にあるオフィスまでバスで通勤しています。バス停まで徒歩5分、バスに乗って10分程度。オフィスが中心街(飲み屋街)と近いので、アフター5も充実していますね。県庁所在地である甲府市に比べると、丹波山村や上野原市は飲食店も少ないと思いますが、お二人はアフター5をどう過ごしていますか。

梅原:私は、アフター5も働いていることが多いかもしれないですね(笑)。夜にやっている飲食店が少ないので、誰かに誘ってもらってその人の家で夕飯をご馳走になることもよくあります。昨日も村の方の家でいただきました。

小俣:我が家は子どもが小学生と保育園児と小さいので、夕食は早めに済ませ、自宅で晩酌していることが多いですね。東京に住んでいたころは、それこそ毎晩のように飲み歩いていましたが、今は最寄りのコンビニまで車で15分かかるので、自然と環境に順応した生活になりました。仕事はどこでもできるので、子どもが寝てから仕事をする日もあります。

山村留学や畑を楽しむ人も!多様な山梨での暮らし方

嶋田:お二人の地域で、二拠点居住や移住をした方は多いですか?

小俣:上野原市への移住者は増えていますね。完全移住よりは、セカンドハウス的に購入し、平日は東京で仕事をして、週末だけ上野原市で過ごして、古民家でDIYを楽しむような方も多いです。

梅原:丹波山村には「親子山村留学」という制度があり、これを利用して親子で移住をしてくる人がいます。この制度を使うと、お子さんの給食費や教材費はかからず、住宅費の負担程度で移住ができます。お母さんとお子さんだけが移住し、お父さんは都内で平日仕事をしているご家族が多いですね。

嶋田:先ほども少し話が出ましたが、丹波山村ではやはり買い物は不便ですか?

梅原:商店以外に移動販売車が来るので、高齢の方はよく利用しています。生協宅配も利用できますし、Amazonなどネットで注文したものが届くまでの日数も首都圏とさほど変わりません。車さえあれば、とくに不自由は感じないと思います。

配信会場は富士急行富士山駅にある「ドットワークplus」にて

嶋田:確かに甲府市でも車はあったほうが便利な気がします。ちなみに私が移住して驚いたのが野菜の安さ。近所の直売所へ行くと、地元で採れた新鮮な野菜が驚くほど安いんです。

梅原:私の場合、買わずに近所の人からいただくことが多いです。とくに旬の野菜はいろんな人からいただくため、一人暮らしだとどう食べようか悩むくらい(笑)。

嶋田:それはうらやましいです。住宅事情はどうでしょう?私の感覚では、甲府市ならワンルームが東京の半額くらいで借りられるイメージです。

梅原:今は村営住宅に住んでいますが、丹波山村の一般的な物件だと8~10畳でキッチン・バス・トイレがあって1.5万円くらい。ファミリー向け物件でも2~3万円くらいでしょうか。

小俣:私は実家をリフォームして住んでいますが、上野原市は東京に近いので、住居費の感覚は甲府と同程度だと思います。ただアパートは少なく、移住してくる方は一軒家や古民家に住むほうが多いですね。畑付きの物件も多く、自分たちが食べる分くらいなら、結構作れますよ。我が家も、じゃがいもや白菜、にんじんなど10種類くらい作っています。

地域への入り方は?二拠点居住・移住の疑問に回答!

後半は、参加者からの質問にも回答した。

嶋田:一つ目の質問は、「地元のコミュニティにどう入っていけばよいか」。ちなみに私は、移住先を選ぶとき、すでにその地域に知り合いがいるかを重視して、以前から移住した知り合いがいた山梨県の甲府駅周辺を選びました。お二人はいかがでしょうか。

梅原:私は大学の講義で丹波山村と出会い、すでに当時から村内に知り合いの方が多くいたので、移住して困ることはあまりありませんでした。ただ、つないでくれる人がいるかどうかは重要だと思いますね。

小俣:私はUターンなので、元々この町のコミュニティに属していましたから、どちらかというと受け入れる側ですが、確かに地域のキーマンを通じて地域へ入るのが早いと思います。具体的には、お店など人の集まる場所へ行って、オーナーや店主の方と仲良くなって誰かを紹介してもらったり、お客さん同士がその場でつながったり、という感じでしょうか。

嶋田:そういえば私も甲府市内のとある書店が開催している朝会に参加したことで、一気に知り合いが増えました。人の集まる場所へ行くのは確かに人とつながる一つの方法ですね。地域との関わりでいうと、ほかに「週末だけを山梨で過ごすような二拠点居住でも、地域の方と交流はありますか」という質問もありましたが、どう思われますか。

小俣:交流を持つかは、本人次第ではないでしょうか。地域のコミュニティに入りたいと思えば入れるし、あまり関わりたくないと思えば距離も置けると思います。上野原市は最近移住者も増えてきて、受け入れる側の心理的な準備も整いつつあります。高齢化が進む地域では、地域行事も成り立ちにくくなっているので、新しく人が入ってきてくれるのはありがたいと思いますね。

梅原:丹波山村もそうです。深く関わろうと思えばいくらでも関われるし、そこまで深く関わらなくても生きていける。今、丹波山村の若い世代はほぼ移住者なので、村の人たちと移住者がほどよい距離感で暮らせている気がします。

嶋田:本当は、事前にお試し移住などができると不安が払拭できるかもしれないですね。

小俣:上野原市にはまだないですが、韮崎市には「お試し住宅」があるようです。そういう制度があればハードルが下がりそうな気がしますね。
※注…「お試し住宅」は、韮崎市や丹波山村など、県内10市町村にある。「Y-charge」ホームページのほか、移住・二拠点居住ガイドブック「やまなしぐらし-移住・二拠点居住を成功に導く7Steps-」に掲載されている。

参加者からは地域とのかかわりや住宅事情に関する質問が多く寄せられた

嶋田:次の質問は「古民家に住みたいが、よい物件の情報が少ない。どう探したらよいか」というものです。不動産屋さんである梅原さん、どうでしょう?

梅原:仕事でも空き家調査をしていますが、やはり状態がいい物件のほうが所有者さんは手放しにくい傾向です。逆に、かなり手をいれないといけないボロボロの物件のほうが所有者さんも手放したい気持ちが強い。ですから、いい物件を探すのはなかなか難しい面があります。不動産屋の情報だけでなく、地方自治体が運営する「空き家バンク」のサイトなどをチェックするのも一つの手かもしれません。

小俣:上野原市には空き家バンクの取り組みもあります。ただ、少し前に聞いたところ、多くの空き家待ちの人がたくさんいるそうで、需要と供給のバランスには大きな差がありそうです。空き家バンクに登録される前に、空き家待ちの人のメーリングリストなどへ先に情報が流れることもあるようですから、まずは興味のある地域の移住担当課に相談するのがよいのではないでしょうか。また、所有者の方のなかには地元の人や知人の紹介でなければ貸さないという人もいるので、やはり地域のキーマンに話を聞くのが早いと思います。

関係者や希望者には現地で観覧も受け入れた。

嶋田:それでは最後に一言ずつお願いします。

小俣:上野原市に移住者は増えていますが、「なぜ上野原市なのか?」というところはつかみきれていないと思うので、ぜひいろいろな人に話を聞いてみたいですね。把握することで、より有意義な情報発信もできるのではないかと思っています。

梅原:丹波山村の暮らしの実状を発信する機会はこれまであまりなかったので、よい機会になりました。私は学生時代、東京に家を借りつつ、丹波山村にも住む場所があり、さらに実家が静岡にある、いわば三拠点での生活でした。今思うと、すごく楽しくて贅沢な暮らしでしたね。各拠点が車で2時間くらいで行き来できる距離だったのもよかったのかなと。それくらいの行動範囲の中にいくつか拠点を作るのは、もしかするとすごく楽しいことかもしれないですね。

嶋田:二拠点居住と聞くとハードルが高く感じる人もいると思いますが、今はいろいろなスタイルがあり、それほど特殊なことでもなくなっている気がしますね。私自身は甲府市に移住しましたが、意外に東京で用事があり、週末は都内へ出かけることが増えて、二拠点居住のようになっています(笑)。お二人とも、本日はありがとうございました。

イベント後のアンケートでは、参加者の75%が「二拠点居住・移住をしてみたいとより強く思うようになった」と回答。「リアルな働き方、暮らし方がわかった」「地域への入り方がわかってよかった」などの声が寄せられた。

二拠点居住・移住に関する情報発信は今後も強化していく

山梨県では、今後も二拠点居住や移住に興味のある人に向けた発信を強化していく。2023年2月には、地域コア人材向けの交流会も甲府市内で開催した。地域コア人材とは、すでに二拠点居住や移住を実践しており、今後それらを希望する人との交流の担い手となる人材のこと。オンラインイベントに登壇した梅原さんと小俣さんも含め、現時点で3名のメンバーがいる。

2月の交流会では、コア人材のみなさんがより効率的・効果的な情報発信ができるよう、SNS講座とワークショップを実施した。ワークショップでは「Y-charge」のインタビュー記事などを元に山梨二拠点居住者の価値観やニーズ、人物像を探った。今後、コア人材のみなさんはワークショップで導き出した人物像を念頭に、山梨の魅力や二拠点居住・移住のリアルなどをより精力的にSNS等で発信していく予定だ。

地域コア人材を対象にした「山梨県 二拠点居住・移住の交流会」の様子。2023年2月13日開催

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